自組織へのシステムコーチング導入に向けたQ&A
(オンラインイベント)組織内チームコーチの実践事例
〜今なぜ「組織内チームコーチ」が必要なのか?〜
【前編】 システムコーチングの力で社内を変革していく
【後編】 こうしてシステムコーチングは社内に広まっていった
【Q&Aセッション】 (今この記事を読んでいます)
組織内チームコーチとして活動しているMSD株式会社の戸村玲子さんとSansan株式会社の三橋新さんのお二人にリスナーから寄せられた質問について聞いていきます。
目次
システムコーチングの成果を定量的に評価する方法や考え方は?
「行動指標に対する実現度合い」を定量成果として説明
三橋さん:定量成果を重視する会社でも、現場の多くの人がやりたいとか良いと言っていると、成り立つという現状もあります。とはいえ、やはり説明責任は常にあると思っていて。まず、毎回システムコーチングの満足度を伝えました。昨年試したのは、あるチームをターゲットにして、そのチームにおいて重要な行動指標を作りました。個人評価としても、他者評価としても、行動できる部分は定量化しやすいと思ったので、「行動指標に対してどれだけ実現度合いがあるか」というところを定量成果として説明した時は、結構刺さりが良かったと思います。また、チームの人たちに対するアンケートで、システムコーチングが定量成果に対してどれくらい寄与したかを聞き、説明をしました。
事前・事後アンケートを取り、最後はスローガンなどの成果物を作る
戸村さん:私たちも事前にアンケートを取っています。皆さんがどんなことを考えているのか、そのチームを見た時にどんなところにチャレンジがあるのか。もしくは今後のチームのビジョンと方向性についてどう考えているのか。そういうアンケートを事前に取った上で、この組織の現状や課題はこういうところだから、この辺についてきちんと対応していくというところからやります。
その上で、事後アンケートは必ず取って、リーダー層にレポートします。後は変革などで何か明確なテーマがある場合には、成果物を作るようにしています。ビジョンがあればスローガンを作って終えたり、そのスローガンのイメージを絵にしたり、アクションを決めて終わるなどです。出来る範囲で明確に作ろうという工夫はしています。
システムコーチング導入時に経営者を説得する時のロジックや事例での伝え方は?
実際のビジネスで使える4つの場面を説明
戸村:これはすごく気をつけているところです。システムコーチングを紹介する時には、必ずこんな場面で使えますというのを4つ挙げています。
まず1つ目は、チームビルディングに使えます。新しいリーダーが就任するとマネージャーシミュレーションと言って、マネージャーとチームメンバーの相互理解を深めるセッションをよくやりますが、そういったものに使えます。
2つ目は、部門間で対立したり、複数の組織が統合する時に、お互いの部門の相互理解を深めるセッションをすることもできます。
3つ目がビジョン作成です。会社ではいろいろな方針が出されますが、それが皆さんの中で自分事になっていないとか、腹落ちしていないとか、絵に描いた餅になっていることがあります。そういう時に、このビジョンは自分たちにとってどんな意味を持つのだろうという対話に使えます。
4つ目が、組織や変革を多面的に理解する時です。例えば、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する時には、いろいろな人の声があることを理解しなければいけないと考えています。何か変革を進める時に、お互いが納得をしたり、より組織を俯瞰的に見たり、このテーマについてはこういう意見があるという理解を深めるためのツールとして使えます。このように、実際のビジネスのこういう場面で使えるというのを伝えるようにしています。
体験してもらう機会を作ることが一番大事
三橋さん:野武士方面からいきますと、やはり体験してもらうことではないでしょうか?ロジックではないという話なのですが。個人コーチングをやり始めた時は、当時役員とは関係性があったので、全員体験してもらいました。そこでフィットする、しないは人によってあると思うんですけども、悪いものではないというのは伝わったかと思います。
コーチは徹底的に話を聞いてくれるということで、安心感や心理的に楽になることを体験してもらっています。コーチングは本を読んでもできないように、やはり体験が一番大事かなと思っています。なので5分でも3分でも何とかして体験してもらう機会を作るのが、一番早いなと思います。
組織内チームコーチのお二人は今この時代でどんな役割を担う人たちなのでしょう?
組織の持つ知恵、声が届いて、生かされる組織を一つでも増やしたい
戸村さん:冒頭でも話した通り、届くべき声が届かなくて、お互いに無要に傷つけてしまったりすることを減らして、心理的安全性の高い組織を少しでも増やしたいと思っています。また、組織ではいろいろな人が知恵を持っているのに、それがちゃんと声として出されなくて、組織として活かされないというのは、とてももったいないなと思っています。必要な事に声を上げて、良いものを作っていく。そういうことがすごく大事なのではないでしょうか。
今日本は、少子化など、ハード面では課題がある一方で、日本の組織は、まだまだ伸びる余地というか、改善の余地があるのではないかと思っています。少しでも各組織のパフォーマンスが最大化されれば、いろいろな可能性、いろいろなアウトプットが増えるのではないかと思っている部分があります。微力ながらですが、社内と多少社外でもコーチングしていますので、そういった形で社会に貢献したいと思っています。
お互いが補い合って、新しいものが生まれていくところに貢献したい
三橋さん:僕の作りたい世界観には、「共に創っていきたい」という願いがあります。誰かが一人で全ての責任を負うのではなく、要所要所で得意だったり、関心が深い人がそこを担うことが大事だと思います。マネジメントの例で言うと、マネジメントは人とか組織の部分を本当は全部やってくださいと言われたりします。僕の場合は人と組織が究極的に好きだと言えます。興味や探求心がかき立てられる分野であり、得意でもあります。
そして、やり続けるということにコミットをしている人間なので、こういう人間が入って、そこの部分の負荷が軽くなった分、その他のところでその人の得意な部分をやっていただけるような形になると良いと思います。お互いが補い合って、強い所が混じり合って、新しいものが生まれていく組織とかチーム、会社を作るところに貢献していきたいという気持ちがあって、今僕はここにいるんだろうなと思います。
【編集後記】
会社の戦略に結び付けて、ロジカルに納得感ある説明で組織にシステムコーチングを導入した戸村さん。「コーチングを体験して欲しい」と情熱を持って、役員や社員に関わり続ける三橋さん。それぞれのアプローチが非常に興味深く、聞きごたえのあるイベントでした。生話は最高です!
(ORSCCのライター:大八木智子)
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