身近な人との関係こそが、あなたを成長させる敵は相手でも自分でもなく、「意識できていない」ということ

1. 前半:Virtual ORSCurious with フェイス・フラー

30年以上システム・アプローチを取ってきた


エルファリーナ・ザイド(主催・ファシリテーター)

フェイス・フラーをご存じない方もいらっしゃるみたいなので、まず簡単にご紹介しますね。フェイスはCRR Globalの共同創業者です。CRR Globalは、組織と関係性のためのシステムコーチング(ORSC)を創り出した組織で、20年以上の歴史があります。

フェイス自身は心理学が専門で、熟練のコーチでありトレーナーでもあります。30年以上、組織やカップル、コミュニティに取り組んできた経験があり、コーチングやあらゆる側面において、変化を起こすためにシステム・アプローチを取っています。

フェイスはこれまで、カップルやチームなどがパワフルで生産的で喜びに満ちた関係を育めるよう、とても力を注いできました。そしてつい最近、『Relationship Matters』という著書も出しました。

ようこそフェイス、APACのコミュニティへようこそ!

フェイス・フラー 

ありがとうございます。シンガポール、日本、中国、あらゆるところとつながっていることを感じながら、今夜、この特別なシステムが私と一緒にいてくれることに感謝したいと思います。
(以降、前半はすべてフェイスの発言です)


関係性はあらゆるものの核心にある


さっそく始めていきたいのですが。実はこのコールに入る直前まで、私は娘に起きた緊急事態に対応していました。そう、私たちは常に関係性の中にいます。それは毎秒起こっていることです。家族、チーム、組織、友人、同僚との関係。そしてそれこそが、私がこの本を書こうと思った理由なんです。

マリタにはアン・ロッドとフランクと共に出した素晴らしい本が2冊あります。それらはリーダーシップやチームについて書かれたものです。一方私は、日常にいる人々のための本を書きたかったのです。家族を愛し、チームや組織を愛し、良いコミュニティーの一員であろうとし、人間関係に悩む人のために。

私たちのほとんどは、個人的な葛藤を抱えているし、仕事上の葛藤も抱えています。関係性の素晴らしいところは、それが普遍的だということです。あなたが何をしているかに関係なく、関係性が関わってくるのです。私たちは、関係性こそが実際に地球をひとつにまとめている織物であると信じています。

私たちの身の回りにあるものはすべて、関係性の何かしらに関わっています。自然そのもの(小さな分子から重力によって相互のつながりの中で揺れ動く大銀河に至るまで)もそうですね。関係性は、宇宙を機能させる最も主要な原理のひとつです。物理学の世界でも、物事の根本的な性質が相互の結びつきに関係しているという話が増えてきています。関係性があらゆるものの核心にあるというのは、とても興味深いことです。


関係性に取り組むには助けが必要

たとえばあなたは、学校で学友とうまくやっていくための授業を受けたことはありますか?建設的な対立の仕方について学んだことはありますか?若い頃に教わりましたか?そう、私たちは人生で最も基本的な原則を持つ方法、つまり関係性について、ほとんど何の訓練も受けていないのです。だからこそこの本は、そんな日常にいる人々の関係性に対する好奇心を刺激するために書きました。

人類の次の進化はテクノロジーや科学だけではありません。私たちは多くの技術を持っていますが、それでもまだうまくやっていくことはできていません。私たちが種として生き残るためには、そして自然という観点から地球を破壊しないためにも、私たちはもっとうまくやる必要があります。そのためにはどうすればいいのか、助けが必要なのです。ですから、この本はORSCについて書かれたものなのです。私たちがORSCで教えていることはすべて、私たち個々人がどのように進化するかということです。種として、より良い関係を築けるように。

この本とORSC、CRR Globalのミッションはすべて、私たちが「関係性による進化」と呼んでいるものです。
どうすればより良くなるのか?種として、また個人として、どうすれば縦(vertical)にも横(horizontal)にも成長できるのか?それが「関係性による進化」というミッションです。

では私たちはどのように進化するのでしょうか?その道筋が「関係性の勇者(Relationship Warriorship)」です。これは私たち一人ひとりが経験したことや関係性を通して成長することに専念するための道であり、コミットメントです。私は自分の人生における人間関係を、自分が成長し、進化し、変化するために活用します。

同僚と大喧嘩した時、一体何が起こったのか?そこからどう学べばいいのか?自分の役割は何だったのか?と。
そういうことが、成長するために関係性の勇者としての道を歩む、そのためのインスピレーションなのです。そのためのツールが、ORSCやその他の場所で学ぶものなのです。その道を歩むためのツールが必要なのです。


正しい関係とは何なのかという謎

私たちはどこを目指しているのでしょうか?私たちは正しい関係を築こうとしているのです。正しい関係という不思議なもの。私がそれを愛しているのは、30年経っても、何年経とうとも、それを定義することができないからです。なぜなら、正しい関係とはその時々の見極めだからです。

ある人にとっての正しい関係とは、別の人にとっての正しい関係とは違います。すべての出来事で違うのです。あなたが学べるのは、これは正しくない、直さなければいけない、もっとよくやる必要があるという感覚だけです。私たちが向き合っているのは、正しい関係とはどういうことなのかという謎なのです。

もし私がとても大変な離婚を経験したとしても、それは私にとって、もしくはパートナーにとって、さらに進化していくために必要なステップなのかもしれません。あるいは、マリタと私のように、時々目玉が飛び出るような、唾液が飛び交うようなケンカをして、そこですべてを吐き出したとすると。その時はいったん離れて、そのことについて考え、熟考して、また一緒に戻ってくることで、システムを明らかにするんです。そうして成長する機会を得るのです。

正しい関係というのは必ずしも整っているもの、優しいものだけではありません。時には、不器用にでも厳しく本当のことを言う必要があります。そうすることで、より正直に前に進むことができるのです。

関係性の勇者(Relationship Warriorship)になる


「関係性の勇者」という言葉を恐れる人もいるかもしれません。でもそれは武士道のようなもので、献身とコミットメントと思いと熾烈さなのです。敵は決して相手ではなく、自分自身でもありません。敵は「無知」、そして「意識の欠如」です。だから、関係性の勇者になることを誓うということは、目覚めるということです。


正しい関係とは何か、その答えを持っていることよりも、探求していることのほうが重要なのです。

後になって、ああ、私、失敗しちゃったと認識できればそれでいいのです。そこから戻って、より良くやれるかどうか。

正しい関係に到らなくても、常に学び続けることです。そして、正しいことをするよりも、間違ったことをしたときにそれを見極めて立ち直ることの方が大切だと思います。人間関係の90%は、回復することだと思うことがあります。そして、私自身そうしようとしています。


関係性の勇者とは、他者との関係を通して、人として進化するための心からのコミットメントだといえます。それは瞑想やジム通いのようなものです。コミットメントです。

でも実は、あなたはすでに関係性の勇者を実践しているんです。
ごめんなさいと言う時、助けが必要だと言う時、行き詰まってどうしたらいいのかわからないのと言う時。
あなたは常に実践しているのです。でも私たちは、相手とつながろうと自分のエッジ(心の壁)を越えて深く無防備になる時、ただあなた自身が関係性の勇者としての自覚がないのです。

それを自分の功績として認めてほしいのです。少しの時間だけでも、自分に向き合ってみてください。この1週間で、あなたが関係性の勇者を実践した場所はどこでしたか。
無防備になる瞬間、責任を負う瞬間、謝罪の瞬間、それがあなたにとってどんな意味であれ。

関係性とは、目覚めること

そしてこれは結果ありきではないことも覚えていてください。自分はとても勇敢で大胆不敵であっても、相手が準備ができていないため、台無しになることがあります。だから、私が良い関係性の勇者であったとしても、結果として関係がうまくいくかどうかは分からないのです。関係性の勇者とは時に、誰も言わないような瞬間に、本当に厳しい真実を言うことなのです。綺麗ごとではありません。

関係性とは目覚めることであるともいえます。関係性とは、あなたの最も弱い部分に鼻をこすりつけるようなものです。痛いところを突かれるのです。それはあなたに成長を強いることになり、あなたは時にそれを憎むことにもなるでしょう。

結婚、家族、パートナーシップ、それらはただ幸せになるためだけのものではありません。うまくいけば、それに見合うだけの幸せがありますが、それは成長することであり、だからこそ関係性はその道筋なのです。私たちに成長を強いるからです。

私は、自分には無理だと感じた関係から離れたこともあります。彼らは毎回、私の最悪の部分を引き出してくれました。私はその関係にいる自分が好きじゃなかった。私にとっては、それが別れの合図だった。だから、私は関係の中で物事を解決し、関係を去りました。解決策です。解決には見極めが必要です。

知っておいてください。関係性の勇者になるには、まず勇気を出して見ることです。
何が起こっているのか、何が起ころうとしているのかを。そこで、必ず疑問が出てきます。


自分はどのように鎧をまとっていますか?
時にはその鎧が必要なこともあります。でも、それを手放していっても良さそうでしょうか?
ここで何が起こっているのでしょうか?何が起ころうとしているのでしょうか?
そして、そこに何かチャンスがあるとしたら、何でしょうか?


ぜひ、好奇心を向けてみてください。



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2. 後半:Virtual ORSConnect マリタ・フリッジョン/フェイス・フラーとの交流


※マリタ・フリッジョン:フェイス同様CRRグローバルの共同経営者兼CEOであり、リレーションシップ・システム・ワークの分野で成長を続ける実践者コミュニティの指導者(CRR Globalホームページより抜粋) 。『システム・インスパイア―ド・リーダーシップ』などの著者でもある(参考 https://lp.crrglobaljapan.com/systems-inspired-leadership)。

環境問題に個人としてどうアプローチしたらいいか

フェイス・フラー 

『Relationship Matters』には自然との正しい関係についての記述があります。率直に言って、今、私たちは自然に対して虐待に等しい関係を持っていると思います。どのようなことか改めて説明する必要もないでしょう。そして、私たちのほとんどは、罪悪感や、圧倒される気持ちから、そこに変化を起こすことができないと思っています。

でも、ある哲学者が言っていたのですが、私たちは愛するものを大切にすることができます。ちっぽけな私に何ができるか?その秘訣は、自然に対して恋に落ちることだと思います。ベランダの鳥と関係を築き、裏庭の植物と関係を築きましょう。あなたの家にいる蜘蛛に興味を持ちましょう。

好奇心を持ち、夢中になる。喜びや楽しみを見つける。罪悪感によってではなく、愛によってそこに到達するのです。だから、自分の世界に恋をしてください。なぜなら、自分が愛したものは、その土地の小さなものにも責任を持ち、気にかけるようになるからです。庭の植物、バルコニーの植物、リビングルームの植物に責任を持つのです。それは、小さなことから始める小さな関係であり、可能なことなのです。あなた自身のために、あなたがそれを愛しているからです。


一人ひとりが実践している世界を一緒に


マリタ・フリッジョン 

(「ORSCの夢は何か」という質問を受けて)
実は、コースをデザインし始めた当初を振り返ると、私たちは今のようなところに至るビジョンを夢見ていたとは言えません。そうですね。だから、もともと計画していた方向とは違う形になっていったかもしれませんが、その間、私たちは大風に吹かれるまま空を渡っていたのです。そしてそれが私たちを進化させたのです。

今あるようなカリキュラムを持ち、20の異なる地域にパートナーを持つというようなビジョンを、当時私たちが持っていたとは言えません。代わりに、私たちは何かを選択し、明確にして、さらに努力を重ね、そして起こるべきところへと進化してきただけなのです。


フェイス・フラー
付け加えると、私にとって、ORSCの夢はあなたです。あなたなのです。
皆さんはORSCの次のパイプ役です。あなたの人生、あなたの家族、あなたの仕事、あなたの国を取り込む必要があります。そしてORSCだけでなく、もっと大きな力で動かすのです。関係性を通してワールドワークを世界にもたらすために動いている多くの人々がいます。あなたもその一人です。あなたを通して動かしてください。あなた方は私たちが待ち望んでいる人たちであり、すでにその人たるのです。

マリタ・フリッジョン 

100%フェイスに共感です。私は今、何を、どこで、次に何をするのかという夢をより意識しています。フェイスとともにそれを構築することを皆さんに伝えたいです。

取り組みましょう、身の回りで。あなたにコーチとしてお金を払う余裕のある人たちにコーチングすることよりも、食料品店に行ったときにそこでどのように接するかということです。関係性システムの観点から、あなたを常日頃見ている人と。それを日常生活や家族に持ち込んでください。


そして、私たちがコーチング業界で果たす役割としては、私の夢は、このようなシステム・インスパイア―ドな進化(身近な関係性における実践を通して一人ひとりが進化していくこと)について、世界がちゃんと語り始めるようになるための呼びかけや道筋をリードしていくことなのです。

フェイス・フラー
ぜひ、関係性の勇者について語り合うために集ってください。「なんだかひどいことが起きて腹が立っているんだけど、どうやって取り組もう・・」とか、鎧を脱いで、聞いて、示唆して、サポートし合えるような場を。楽しいと思うし。そうだ、これをワールドワークとして取り組む人が出てくるといいね。

マリタ・フリッジョン 

東洋やAPAC(アジア太平洋)、そして皆さんの地域への私たちの取り組みの広がりは素晴らしいものでした。そして「We カルチャー(私たちという意識に基づいた文化)」への理解もあります。

もし私が何かできるのであれば、グローバル・サミットを開催したいです。私たちのパートナーだけでなく、異なる文化や地域の実践家たちを集めたグローバルサミットを。というのも、それこそが世界で最もうまくいっていないところだからです。もし私たちが門戸を開き、文化的な違いを超えて互いに学び合うことができれば、これまでとはまったく違ったシステムが生まれるはずです。

フェイス・フラー
ORSCのコンセプトや原則は普遍的なものですが、地域によって独特の風味があります。ですから、シンガポール流、中国流、日本流、フランス流に進化するオーダーが必要なのです。ORSCの文化的な捉え方や表現は人それぞれです。ですから私たちは、皆さんがシンガポール流やAPAC流を見つけ、あなたの文化の智慧を持ち寄るよう、強く勧めているのです。


マリタ・フリッジョン 

私たちは、皆さんが世界中で協力し合っていることをとても誇りに思っています。あなた方はパートナーとして、より結束しています。それこそが、異なる文化圏や身の回りでの普及を促進していくのです。

一緒に挑戦しましょう。どのように始めることができるか、考えましょう。身の回りで。
そしてまた改めて集まり、身の回りでの話を共有しましょう。

フェイス・フラー 

それは素晴らしい。楽しそうですね。

エルファリーナ・ザイド 

よし、みんなやるぞ。一緒にやりましょう。