【中編】「組織内チームコーチ養成コース」での学びパナソニック株式会社 オペレーショナルエクセレンス社
【前編】なぜ「組織内チームコーチ養成コース」に参加したのか?
【中編】「組織内チームコーチ養成コース」での学び(今この記事を読んでいます)
【後半】システムコーチングを職場でどのように活かしているか?
組織が自ら動き出すことを支援する「組織内チームコーチ養成コース」
2021年7月~12月に行われた「組織内チームコーチ養成コース」*に参加されたパナソニック株式会社 オペレーショナルエクセレンス社 組織・人材開発センター 組織開発推進室の方々へお話を伺いました。コース内ではどんな学びがあったのでしょうか。
【中編】「組織内チームコーチ養成コース」での学び
関係性システムを使って、自分たちの変化を肌で体感
――礒貝さんと戒能さんにお聞きしたいのですが、参加された「組織内チームコーチ養成コース」では、どのような学びがありましたか?
礒貝さん:本当なんかこう何とも言い難い、うまく口には出しづらい何かがありました。
戒能さん:正直まだ全部身に付いたという実感はありません。「使ってなんぼ」だと思っていて、早く使いたくてうずうずしている状態です。
礒貝さん:早く使いたくて…というのは本当にそうですね。それは一通り学べたからだと思います。システムコーチングでは、チームを1つの生命体のように捉え、それを「システム」(関係性システム)と呼んでいます。問いや対話を通じて「関係性そのもの」をコーチングしていくのが、システムコーチングの特徴です。コースで学ぶツールやワークももちろん学びでしたが、全体を通して自分たちが変化していく過程で学んだ気がしています。
というのも、システムコーチングの一般的な応用コースは4つに分かれていて、各回参加者を応募するので、毎回初めて会う受講生がいるんですね。今回の「組織内チームコーチ養成コース」も4つのコース(モジュール)に分かれていたのですが、こちらの場合はコースを通して同じ受講生だったので、それがすごく大きかったなと感じています。
今回、一緒に学んだ受講生たちに「ペンちゃんズ」(由来:ファーストペンギンの群れ)という言う名前を付けたのですが、まさにペンちゃんズというシステム(関係性システム)がどういう風に変化していくか、ペンちゃんズというシステムを使って、肌で体感しました。それこそ、もっとうまくいきたいのに自分たちが変われないというモヤモヤを感じて。そうした中で、回を追うごとにぐぐっと場が動いた瞬間がありました。
戒能さん:「組織内チームコーチ養成コース」は礒貝さんが話した通り4つのコース(モジュール)に分かれているのですが、そのコースの合間、合間に学んだことを実践してくるという宿題が毎回出ていました(=図2参照)。
初めはそれが全くうまくいかなくて、傷ついて帰って来ていたんです。半信半疑でツールを使ってみるということも結構ありましたが、最終的には現場で良い反応が返ってきて、システムコーチングが使えると実感しました。これはやってみないとわからなかったことです。
――先程、礒貝さんが「回を追うごとに、ぐぐっと場が動いた瞬間があった」とおっしゃっていましたが、どんなことが起きたのですか?
思いっきりやって、思いっきり吸収して、思いっきり実践したい
礒貝さん:今回参加者が12人いたのですが、みんな自分の組織を背負って来ていて、「組織の中を何とかしたい。職場へ帰ったらまたコースで学んだことをやらなければいけない」と思っていたんです。結構、足取り重いですよね。「これをやっても上手くいかないんじゃないか」と尻込みする感じとか。講座を受けている最中も、なんとなく重たい空気を感じていたんです。
だけど、それを打破したい気持ちもみんな持っていて。「じれったい。こんなはずじゃないのに」と、全員がなにかずっと足かせがついたまま動かされていると感じていたのだと思います。
ぐぐっと場が動いたのは、2つ目のコースの朝でした。ファカルティと呼ばれているワークショップリーダーの一人から、「私たち遠慮しています」って言われたんです。その時みんなに衝撃が走って。遠慮させている場合じゃないなって全員が思いました。
私たちは学びたくて来ているし、もっと遠慮しないで、もっとガンガンいきたい。もっとリーダー陣たちからも働きかけて欲しい。私たちが遠慮させているのだし、もっとやりたいんですって、みんなが口々に言った瞬間がありました。
戒能さん:私たちの頭の中には、学んだことを職場で本当にできるのかという思いが常につきまとっていたんです。職場の人に引かれるのではないか、怪しいと思われるのではないか、効果がないのではないかと、システムコーチングを信じきれてないところがあったのだと思います。
宿題はみんな実践してやってくるのですが、うまくいかなかったという話ばかりで、エネルギーが落ちていていたところに、先程のファカルティの一言があって。「何のために私たちここに来たんだっけ?」というところに立ち返りました。
礒貝さん:やっぱり思いっきりやって、思いっきり吸収して、思いっきり実践したい。その結果として、自分たちの組織が良くなることを目指して来ているんじゃないのっていう。改めて原点に戻りました。そこから、じれったかったり、重苦しい感じが、もっと軽やかに行こうという雰囲気になりました。
戒能さん:自分たちの実践がうまくいかなかった話をした時に、ファカルティの一人がよく“It’s normal.”と言ってくれていたんです。なので、そういう時は私たちも“It’s normal.”と言うようになりました。苦しみながらやるのではなく、楽しみながらやったほうが良いのではないかと。いらない力が入っていたことに気づき、肩の力が抜けた感じがしました。
――ファカルティの一言もインパクトがあったと思いますが、お二人が「ペンちゃんズ」という関係性システムに対して、どのようにコーチングを進めていきたいかというDTA(Designed Team Alliance)をした時に、場の雰囲気を一気に変えたという話を聞きました。その時のことを聞かせてもらえますか?
二人でおこなったDTAが場の雰囲気を一変
戒能さん:私自身、自分たちの力やシステムコーチングを信じ切れていない重苦しい空気が嫌だったんです。
礒貝さん:その時は、「ぺんちゃんズ」に対して軽やかさというメタスキル(心の態度・姿勢・哲学)を意識して関わりました。「もう楽しんでやろう」「なかなかうまくいかないけれども、それも全部出していこう」と、いつも以上に思い切り出しました。
前川さん:その話を聞いて、すごいなって思いました。二人ともすごくパワーがあるし、思いがある。普段、二人の特徴はそれぞれ違いますが、お互いに共通してあるのは、自分が大事に思っていることや周りの可能性を信じてやっているところだと思います。
軽やかにと言いながらも、「みんなもっとできるでしょ」と後押しする気持ちもあったのではないかと。「みんなは信じないかもしれないけれど、システムコーチングはすごく良いんだよ」ということを信じてやっていたのではないと思います。一つ間違えると詐欺師っぽいところがありますが(笑)。信じさせるぐらいに熱意をもってかかわるところが、二人の特徴かなと思います。
――【後編】では、システムコーチングを職場でどのように活かしているのか、また、今後どのようにシステムコーチングを使っていきたいのかについて聞いていきます。
(ORSCCのライター:大八木智子)
*組織内チームコーチ養成コースは、現在開催しておりません(2023年6月現在)
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