就活生になれなかった私が、3年間社会人をして手に入れた13の魔法のメガネ「関係性をあきめない」システムコーチたちの組織に飛び込んでみて

仕事や職場におけるストレス、第1位は「人間関係」

さまざまな統計を挙げるまでもなく、それは肌感覚としてもうなずける人が多いのではないでしょうか。

「できることならば、人間関係に煩わされることなく仕事に集中したい・・。」

そんな本音が聞こえてくる一方で、
何よりその「関係性」をど真ん中に置いた経営を行っている、ある組織があります。

CRR Global Japanというその組織は、共同経営する13人をはじめ、一緒に働く人たちとの関係性を第一に考える経営スタイルを取っています。

合意形成に使うのは、その13人がトレーナーとして教えてもいる「システムコーチング(複数の人の間の関係性を扱うコーチング)」という手法、そしてそれを支えるさまざまな智慧(wisdom)です。

新卒でその組織に関わるようになり、さらに1年近く『システムコーチとして生きる人々(その組織の1人ひとりの人生に大きく切り込んだインタビューイベント、以下「シス生き」』を企画・運営してきた、今回はそんな「ゆいぽん」の物語です。

パラスポーツからはじめるダイバーシティ/ORSCC貞岡裕達

彼女と同じシステムコーチングのコースを資格習得まで修了し、またこのイベントを1年通して見守ってきたというシステムコーチの「さださん」こと貞岡裕達さんが、今度は彼女自身をインタビューします。

「就活生」っていうものになれなかった

さださん:今日はメインスピーカーだね。軽く自己紹介からいきますか。

ゆいぽん: はい。齋藤悠衣、「ゆいぽん」です。
大学卒業後すぐ、なおさん(CRR Global Japanファカルティの原田 直和さん)の経営する「Heart of the Earth」に入社をして。そのご縁からCRRのマーケティングの一環として『シス生き』の企画を1年間やることになりました。

さださん: さっそく聞いてみたくなったんだけど、いい?
なおさんの会社に入るのって、就職活動としてメジャーな選択肢ではないですよね。

ゆいぽん: はい。さっそく突っ込んでいただきありがとうございます(笑)。

さださん: どういう就職活動だったんでしょう?

ゆいぽん: ・・・そもそも「就活生」っていうものになれないなって思っていました。

大学3年生になったらみんな同じような服を着て、さっと同じ方角=社会に向かっていく。
それがけっこう「異様だな」って。

就活楽しそうにしてる人とか、あんまり見かけなかったし・・・苦しんでる人が多いなって。

さださん: なんか今の話、ドキッとさせられる

自分は普段、人事の採用側っていう反対のところにいて・・こっちだって違和感を感じてるわけですよ。実は。

みんな同じこと言うから、こっちも「何が本当なんだろう」っていうのをわざわざ見に行かなきゃいけない。すごく難しいの。「これダレトクだろう(誰が得するんだろう)」って思いながら。

でも同時に、それが当たり前になっていた自分もいて。今ちょっとドキッとさせられたっていうか。

ゆいぽん: 「自分の好きなスーツ着ていけるような空気じゃないよ」って(周りに)言われて。
といっても、「じゃあ私が着てってやろう」ってわけではなかったんですが。

さださん: そこに立たないっていうチョイスをしたんだよね。

ゆいぽん: 私だけずっと茶髪だったので、「いつ就活するの?」って言われまくってました。

大人たちに何か証明したかったのかも

さださん: そこでゆいぽんが「共にいれなかった」ものってなんなんだろうね。

ゆいぽん: うーん・・・

たいがいの学生は「働きたくない」って言ってた。
でも働くための準備を頑張っているっていう、その矛盾
そういう大きな構造に入れなかったな。

さださん:うーん、なるほど。その中で(今の仕事を)見つけたの?

ゆいぽん: そうですね。私はその時期、グラレコとかグラファシ※1にのめり込んでいて。

暇さえあれば「描きに行かせてください!」って。卒業してからの予定がないことに焦りながらも、自分の好きなことをやっていた感じですね。

なおさんとの出会いは、彼がファシリテーターをしていた武者修行っていうプログラムに私が参加して。「就活したくないです」ってひたすら相談しました(笑)。

グラファシができそうな場になおさんが呼んでくれるようになって、その流れで「じゃあうちで働く?」って。

さださん:なんか聞いてると1番贅沢なというか・・・。

ゆいぽん:確かにそうですね・・・。

就活してないと、ゼミの先生や学生課からも呼び出しくらうんです。

そんな心配してくれる大人たちに「好きなことして生きていけるかどうかわからないけど、そっちをやってるんだよ」って。何か証明したかったのかもしれない。

さださん:なるほどね。

※1 グラレコとかグラファシ: グラフィックレコーディングとかグラフィックファシリテーション。会議やワークショップの内容を視覚的に描写・サポートする技法。

システムコーチングという不思議な世界

※ここから、ゆいぽんが主催してきたイベント『シス生き』の話に入ります。
イベントの内容を知りたい方は、ここから読むことができます

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さださん:1年間、『シス生き』をたくさんの人が聞いたり読んだりしたと思うんですけど。
「周囲にこういうインパクトを与えたな」って感じるところはあります?

ゆいぽん:「こういう不思議な世界がある」っていうことを伝えられたかな。

第11回目のゲスト:ゆりさんの「願い」に触れたシーン

その人(ゲスト)が大切にしている軸になるような信念を、玉ねぎの皮をはがすように丁寧に見せられたと思う。だから、ただ職業としてシステムコーチしてるんじゃなく、その奥にすごい物語や痛み、願いがあったりするんだなって。

さださん: なるほどね。今日こうやって(自分が)ゆいぽんにインタビューしてるのも、そのインパクトを受けた1人としてやってるんだろうなって思いますね。

ゆいぽん: すごく豪華な・・・リッチすぎる時間だった。一件一件がビッグでヘビーで。

さださん: なんか出てくるお皿全部がメインディッシュみたいな。

ゆいぽん: そうですそうです。なんか、ゲームの初回から最終回までラスボスしか出てこんていう(笑)。

全13回通してゆいぽんがインタビューした

毎月毎月、全然違う味のがっつりメインディッシュを食べるので・・・その1ヶ月の私の過ごし方や考え方もけっこう染まるんですよね。 

さださん: それはどういうこと・・・?

13個の魔法のメガネを手に入れて

ゆいぽん: 「この人が言ってたことってこういう意味なのかな」って、自分の生活の中で染み込ませるっていうか。

さださん: (打ち合わせやイベント当日に)話したことを、日常で実践してた感覚なのかな。

ゆいぽん: そうですね。自分がシステムコーチングですでに学んでいたことも、改めてその人(ゲストのファカルティ)のメガネの視点で見ると、私が知ってる世界とまた全然違って見えて

さださん: ファカルティそれぞれのメガネを手に入れたって感じ?

ゆいぽん: そうですね。本当にそう。それぞれのメガネをいっぱい、13個(笑)。

さださん: 13個のメガネをジャケットの中に刺してる感じがするね。

ゆいぽん: こうやって開いたらいっぱい。「今月は誰!」っていう(笑)。

さださん: 自在に付け替えることができたらすごいよね。

ゆいぽん: そうですね。恐れ多いけれど、 すごいパワーに・・。

でもいまだに触れただけで火傷しそうなメガネとかがあって。
「いつでもかけていいよ、おいで」みたいな感じなんですけど、近づくと「イタッ!魔法が強すぎる!」みたいな(笑)。

さださん: すごい!ちゃんと箱に入れてしまってある感じだね。まだね。

ゆいぽん: あ、そうですね。鍵かかってるのに、かたかた、かたかた動いてる。「かける時だよ、今!」みたいな感じで(笑)。

さださん: (笑)。そのメガネをもって、システムコーチングの智慧が「日常生活という実践の中」に結びついたんだね。

ゆいぽん:そうですね。ものの見方としてそういう捉え方ができたり、それを使って生きたり

(シス生きでも)そういう生身の声を届けたから、とっても生々しかったと思う。
自分自身の関係性においても、いろんなことをシステムコーチングのメガネを使って明らかにしていくと・・・あーもう、とっても生々しい(笑)。

13回のコーファシリテーション

さださん: タイトルも『システムコーチとして生きる人々』だったしね。まさにそれがよく体現された13回だったと思う。

ゆいぽん: そう。こんな話をしちゃって大丈夫なのって思うくらいのオープンさで話してくれるファカルティ―の方々、やっぱすごいなと思う。

そういう話を聞いていると、「魔法使いって思ってたけど、 やっぱり人間なんだな」って思えて安心したっていうか。皆さんからもそのような声があって。

さださん:うんうん、そうだね。

ゆいぽん:私世代の人は(受講者には)まだ多くない中で、私が立つことによって、「あ、私も学びに来ていい場所なんだな」って思ってもらえたら嬉しい。 

さださん: ゆいぽんがファカルティーと対等にというか、同じ場で、同じ目線で、同じトーンで語ってたのはすごく面白い光景だった

ゆいぽん: そうですよね。20代ぐらいの方が学びに来ても、ちゃんとこうやって扱ってくれるんだっていうのも見せられたかもしれない。「なんか未来の受講生にとって希望ですね」って言う卒業生の方がいて。それはすごい嬉しかったな。

あと私、『シス生き』を始める1-2週間前にアルケミー(コーファシリテーションのトレーニングコース)を受けてたんですよ。それも大きかったかもしれない。

さださん: いや、まさにコーファシリテーション=2人で一緒の場を創った感じが伝わってきた。
そう考えると、アルケミーの実践を13回できたっていうのは、すげえと思う(笑)。

ゆいぽん: ほんと、ありがたいですね。 

あとリピートして参加してくれる方から、「毎度毎度、全然違う会ですね」ってけっこう言われました。やっぱり2人のシステム感が違うから、それが立ち上がっていくのが見えてみたいな。

さださん:ゆいぽんの役割が違うから、毎回違うシステムに入れたっていうことだろうね。

ゆいぽん: 本当に全然違う。打ち合わせの時の空気感、場の空気感とかも違えば、やっぱり集う人々も違うんですよね。

さださん: それはオーディンスというか、参加してくれる人?

ゆいぽん: そうそう。ウェビナーなのに、不思議と参加者側のシステムを感じるんですよ。

さださん: はいはいはい。

ゆいぽん: コメントでしか意思疎通できるところはなかったのに、「あ、違うシステムが集まってくるんだな」っていうのを感じるというか。

さださん: 毎回そこに新しいシステムが出来上がってるってのは面白いね。

その裏にあるスピリットまで

さださん:話は変わるけど、ゆいぽんはアイスランドに行くんだよね。
そこでシステムコーチングの智慧をどう生かしていこうと思う?

※ゆいぽんはこれからアイスランドに留学に行きます

ゆいぽん: アイスランドって、いろんな面で尖った面白い戦略を取ってるので。それを「システムの目で見てみたい」っていうのがすごくあります。

「なんでこういう政策ができるんだろう?」とか、「逆に日本とはなんでこういう違いがあるんだろう?」とか。そこはすごく断片的にっていうか、システムで捉えたいっていうのがあるかな。

ジェンダーギャップを少なくしたり、クリーンエネルギー政策を進めたりする中で、逆に「性別に基づいた役割をした方がいい」っていうような、実は声になってない声はどれぐらいあるのかなとか。心から(そうしたいと)思ってるのか、(本音は)どうなんだろうっていうところを見てみたいです。

でも「それやって何になるの?」とか(言われる)。「1人で勝手にやる大人の社会科見学っぽい」って(笑)。そう、社会科見学がしに行きたくて行くんです。

仕組みや制度に注目しがちですけど、そうじゃなくて、その裏にある根本的なエネルギー感、魂・スピリットみたいなのも一緒に研究できるといいなと。

さださん: そうだね。仕組みだけだったら、文献読めばすぐわかるかもしれないけど・・・。

ゆいぽん: その下にあるスピリットみたいなところもないと、仕組みにまでできないので。

さださん: ゆいぽんの裸眼でしっかり見て、ちょいちょいメガネを掛けて見ると、13倍の経験ができるし、13倍の見方ができるかもしれない。

ゆいぽん: そうかも!たとえば3個あったら3の13乗ができるわけでしょ。確率みたいなとこでいくと。

さださん: あれだな、お得な感じもするけど、酔わないように気を付けてね。

ゆいぽん: 自分の裸眼が何かわからなくなる・・・。

さださん: そうそうそうそうそうそう。

いや、でも大丈夫じゃない。13個のメガネがあるって思うと、お父さんは安心して送り出せるよ(笑)。

まぁ視聴者・読者を代表して、 ゆいぽんの1年間に「お疲れ様」と「ありがとう」って伝えておきます。

ゆいぽん:ありがとうございます。私もこうやって自分が1年やってきたことを言葉にする時間をくれてすごくありがたかったです。

さださん:うん。じゃあ、もうあとはお父さんとしてしっかり見守りますんで(笑)。

ゆいぽん: ありがとうございます(笑)。


CRR Global Japanは11月にジェネレーション(世代)をテーマにしたイベントを開催します。(ゆいぽんとさださんも参加予定です!)関係性を扱うコーチングを教えるCRR Global Japanが主催する、年代を超えた対話の場に興味ある方。ぜひ、覗いてみてください↓↓

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