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みんなが自分自身の物語につながれるように俳優からヨガ講師、ライターにシステムコーチまで、私のすべてをつなぐ一本の線

「(あなたは)何をされてる方ですか? — What do you do? 」

誰かにこう質問された時。 あなたならどう答えますか?


実は私たちは、名刺の肩書が表現できるよりもずっと大きな存在です。

その質問にどのように答えるかで、

あなたのこれからの生き方が大きく変わっていくかもしれない

ORSCC(CRR Global認定システムコーチ)であり、ファカルティでもあるKatie Churchmanは、TED Talkの舞台で世界にそう問いかけました。

実際彼女は、システムコーチでありながら、俳優やヨガの講師、ライターなど、幅広いバックグラウンドを持っています

そんなすべての職業について説明する代わりに、彼女はいつもこう答えているそうです。

「私は、ストーリーテラーです(物語を語る人)」

彼女にとって、表に見えている各々の職業は、それを支えるストーリーテリングという一本の線ですべて繋がっているのです。

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世界中のワールド・ワーカーを紹介するシリーズ『Global World Workers』。
記念すべき第一回は、そんな多彩な顔を持つ「ケイティ(Katie Churchman)」をご紹介します。

ケイティはポッドキャスト番組『リレーションシップ・マターズ』のホストとして、CRR Global共同創業者Faith FullerとMarita Fridjhonを始め、世界中のワールド・ワーカーたちをゲストに迎えてきました。番組はすでに約100回を数え、126の国から7万回以上ダウンロードされている人気番組です。

システムコーチングを世界に伝えていく役割を大きく担っているケイティですが、そのキャリアのスタートは意外にも俳優としてでした

英BBCのドラマ ‘Holby City’で迫真の演技を見せるケイティ
英BBCのドラマ Holby Cityで迫真の演技を見せるケイティ

俳優としてコミュニケーションや表現の世界に魅了される中でシステムコーチングに導かれていったケイティ・チャーチマンの物語を、CRR Global Japanファカルティの「いずみ」こと島崎 湖さんが紐解きます。

演技とは、自分自身の物語に繋がること

―――たくさんのことをされていますが、まずどのようにORSCに出会ったのでしょうか。

ケイティ:まず私は、俳優としてキャリアをスタートしました。ある意味、表現が下手だったからこそ(俳優として)演じることを始めたような気がします。

ずっと、いくつかの感情を表現することが許されていないように感じていたのです。しかし演技の中では、いろんな自分自身を表現できました。

演技と聞いて抵抗を感じたり怖がる人もいるけれども、私たちがその世界から学べることはたくさんあります。私も俳優としてコミュニケーションスキルのトレーニングをたくさん受け、ジェスチャー、顔の表情、声のトーンに関する多くのスキルを学びました。

そしてこれらのスキルはビジネスやさまざまなところでも生かせることに気づき、そういったトレーニングに携わるようになりました。

私はその世界に魅了されました。
特に、多くの人の中に、自己認識と自己表現の(自身への理解とその見せ方の)間にギャップがあることに気づき、非常に興味を持ちました。

ただ私は当時、そのことを探求するために必要な知識などを持ち併せていませんでした。

そんなある日、同僚から「最高のトレーニング」だとORSC(システムコーチング)の話を聞きました。興味を持った私は、さっそくロンドンでORSCの基礎コースに参加しました。それが最初の出会いです。

そこで手にした関係性を扱うためのフレームワークは、私の人生を職業としても個人としても変えてくれました。

―――どのように変わったのでしょう?

ケイティ:全く違った観点から世界が見えるようになりました。ある意味、クライアントとの付き合い方から、人生の生き方まで、すべてが変わりました。

関係性のレンズを通して見ると、結局のところすべては人間関係であることがわかります。カップルと働いていようと、チームと働いていようと、パーソナルだろうとプロフェッショナルだろうと、同じ原則が適用できます。そういった観点からも、私はこの仕事が大好きです。

―――俳優としてもコーチとしても、関係性のレンズを通して見るようになったのですね。

ケイティ:ORSCを学んで、素晴らしい演技の本質にも気づきました。その中で俳優たちがやろうとしていることは、自分以外の他のキャラクターを試すことではなく、自分自身の中にあるさまざまな部分に手を伸ばすことだということです。自分を知ることであり、私自身のストーリーを見つけることです。

まさに私がコーチとしてやりたいのは、人々が自分自身の物語につながるのを助けることです。

色んな経緯を経て生まれたポッドキャスト

―――ポッドキャスト番組『リレーションシップ・マターズ』はどのようにして誕生したのでしょう。

ケイティ:まず、私がORSCの認定プログラムに進もうとした時のことからお話しますね。当時、そのプログラムへの費用の捻出は決して簡単ではなかったのですが、私は普段から「お金と時間の制約を言い訳にしてはいけない」と強く信じていたので、何とかできる方法はないかと考えました。

実は私はライターでもあります。そこでCRR Global創始者のマリタとフェイスのために記事を書くことを提案し、代わりに一部奨学金をいただけることになったのです。

そうして認定プログラムを始められることになったのが、2020年頭のこと。当時の私のワールドワークは、住んでいたノースカロライナ州シャーロットで基調講演を行なうことでした。

しかしそうこうする中、世界ではパンデミックが始まってしまいました。(人が集まる講演という)私のワールドワークは、考え直さなくてはならなくなりました

一方で、マリタとフェイスと約束した記事執筆活動は予定通り行いました。

その中のひとつは、毎週マリタとフェイスをインタビューし、それを記事にするというものだったのですが、実は私自身、その会話からたくさんの智慧をいただきました。特にコーチングのコミュニティと繋がりを感じられなくなっていたロックダウンのさなか、その智慧にずいぶん助けられたのです。

ある日、記事を書くためにそのマリタとフェイスとの間の会話の録音を聞き返していた時のことです。

ふと、「もしかしたら、みんなこの会話自体を聴きたいかもしれない」と思い立ちました。

パンデミックの中、ORSCコミュニティの中の繋がりと会話を創るという役割を担えるかもしれないと思ったのです。

そうやってこのポッドキャスト番組『リレーションシップ・マターズ』は誕生しました。ありがたいことに、すでにシーズン4まで続いています。

日本語版発売が予定されている『システム・インスパイア―ド・リーダーシップ』の著者マリタとフランクと

死や病気、老化との正しい関係性を語り合う

―――特に印象に残っている回はありますか?

ケイティ:本当にたくさんあるのですが・・・その中でも昨年、『Conversations on Cancer (癌についての対話)』というミニシリーズをフェイス・フラーと一緒に行ったのは印象的でした。

『Conversations on Cancer』トレイラー(2分40秒)

フェイスは、癌や生命を脅かす病気のようなものとの正しい関係性というものに興味がありました。 そこで一緒に、この6部構成のミニシリーズを作成することになったのです。

このシリーズでは、癌の生存者や、生命を脅かす病気を持つ人々の介護者などが、病気や死などの難しいものとの正しい関係とはどのようなものかということについて話しています。

私にとってそれは、画期的なことのように感じました。少なくとも通常は行わないような類の会話でしたが、それらのエピソードでは、そういった普通は抵抗感のあるような会話をしても大丈夫なこととしました。

愛などさまざまな素晴らしいものとの正しい関係を築くことも大切ですが、同時に、死や病気、老化といったようなこととも正しい関係性を模索し、勇気をもって会話に参加して、共有することも大切です。このシリーズは、そのようなことに挑戦しています。

新たな種類の会話の始まりだった

―――私も聴かせてもらって、たくさんの素晴らしい智慧をもらいました。

ケイティ:私もこのようなことに携われて、本当に光栄だと思っています。そしてコーチングコミュニティの外でも多くの人がその課題に向き合っているのを知っていたので、広く伝えていこうと思いました。その波及効果がORSCコミュニティを超えて広がることを願っています

エピソードの中で話をしてくれた人たちは、勇気をもって会話を開いてくれました。そしてそれは、新たな種類の会話の始まりだったと思います。世界に対してORSCに何ができるかを物語っているとともに、関係性のレンズを通して世界を見るとどのような会話が生まれるのかということも見えてきました。

日本からは森川有里さんや村松圭子さんも来てくださいましたし、レバノンでの避難民の統合や南アフリカでの活動に役立てているというお話など、本当に世界中からたくさんの方がお話してくださいました。

ORSCの智慧を使う場所は、会議室だけではないのだと改めて感じました。教室の中や政治の中、もしくは家族の中など、役立てられるフィールドは世界中に広がっています。

―――『リレーションシップ・マターズ』はいつもドラマを見ている感じがします。人間というものの本質を理解できるようになりますよね。

ケイティ:まさにその通りですね。「ORSCポッドキャスト」ともいえますが、実際には人間についてのポッドキャストだと思います。

すべてはつながっている

―――これからやっていきたいことは何ですか?

ケイティ:私はORSCの智慧を、コーチコミュニティ内だけでなく、世界中に広め続けたいと思っています。たとえばリーダーであれ、教師であれ、パートナーであれ、親であれ、いろんな立場の人たちにとって非常に有益なものだと考えているからです。だからシンプルで親しみやすく、理解しやすいように伝える方法を常に模索しています。 

その一環として、私の会社Team Triadで『バルコニー・ビュー』というプロジェクトをローンチしました。これは記事とポッドキャストを組み合わせたもので、一歩引いてより大きな画につながることで広い視野が得られるコンテンツです。

私たちが生きている中ではよく、「私」対「あなた」といった対立構造にはまってしまうことがあります。しかし一歩引いてより大きな絵を見ることができれば、私たちはより意識を持って意図的な関係を築き始めることができます

それは、パートナーや家族との個人的な関係だけでなく、大きな政治的会話においても同様であり、私たちが世界中で直面している危機についても俯瞰的に考えることができるようになると考えています。

いずみ: 一緒にいろいろやっていきましょうね。

ケイティ:ぜひ。ちなみに、いずみさんのワールドワークは?

いずみ:私は地球温暖化などの環境問題に興味があります。もともと人間社会における関係性だけでなく、動植物といった命あるものも含めての関係性だと考えているんですね。
コーチとしてこの問題にどう関わるかについての答えを、大学に通いながら探しているところです。

この問題に関わると、人間社会における政治経済や社会の課題といったたくさんの別の問題が浮かび上がってきます。すべてはつながっているのです

ORSCerとしてやるべきこと、やれることはたくさんあると考えています。またWorld Workerとして様々なテーマに取り組んでいる人たちをエンパワーできれば、その影響が網の目のように繋がって世界がよくなっていくと信じています。

ケイティ:素晴らしいですね。これらの問題を個別に見るのではなく、体系的に見て、それらがどのように影響し合っているかを見るべきですね。点が線に、面になっていく様子が見えます

いずみ:この記事もその活動の一環で、今回こうやってケイティを紹介することで点が線となり、蜘蛛の巣のように広がっていくことを願っています

ケイティ:共感します。私もクライアントが自身のストーリーを理解して受け入れるのを助けたり、ポッドキャストのホストとして会話をしたりしながら、本質レベルではストーリーテリングをしています。

すべてはあなたと同じようにストーリーを引き出して(蜘蛛の糸のように)編み上げようとしているのです。


グローバルコミュニティとして、クモの巣がその上に乗っかっている個別のプロジェクトを支えているといういずみの考え方がとても好きです。

それらは個別のものではなく、すべて繋がっていますよね