システムコーチと共に生きてその人のあり方は「だだ漏れて」波のように広がっていく
ゆいぽん:毎回CRR Global Japanのトレーナーたちをお呼びして、その職業についてや世界観を聞いていくシリーズ『システムコーチとして生きる人々』。
今回は番外編『システムコーチと共に生きる人々』ということで、その舞台裏を支えているオペレーションチームのお2人にお越しいただいています。
ご紹介する前に、まずCRR Global Japanについて簡単にご説明しますね。
システムコーチングという「関係性に対するコーチング」のコーチを養成することをメインの柱として行っている組織で、13名が共同代表・経営者として運営しているユニークな合同会社です。
主な養成コースは「基礎コース・応用コース・実践コース」と 大きく分けて3段階あって、教える立場のトレーナーを「ファカルティー」と呼んでいます。
そして今日来ていただいているのが、オペレーションチームのお2人、「ろくっちさん」と「マイさん」です!
ろくっちさん、マイさん: ありがとうございます。よろしくお願いします。
目次
CRR Global Japanオペレーションチーム
ゆいぽん:私はこのシリーズのモデレータをやっています、Heart of the Earthの齋藤悠衣(ゆいぽん)です。CRR Global Japanのメンバーではなく、外からウェブマーケティング周りの支援などで一緒に関わらせてもらっています。
また自分もシステムコーチングのコースを受講していて、今ちょうど実践コースで絶賛トレーニング中でもあります。オペレーションチームには、普段から実際に受講生としてもとてもお世話になっています。よろしくお願いします。
マイさん:「CRR Global Japan事務局の三木です」と、皆さんにメールを送り、お問い合わせに対応したり、コースの準備をしたり、そういう仕事をしています。 「マイさん」と呼ばれています。よろしくお願いします。
ろくっちさん: 私はCRR Global Japanの共同経営者で、オペレーションのチームをまとめつつ、今はORSCC(システムコーチング資格取得者)と実践コース中の皆さんの事務局・窓口もやっています。あと調整役のチームも担っています。
ゆいぽん: 同じオペレーションチームでも2人が担っている役割ってそれぞれ違うんですね。
マイさん:そうですね。私は初めて門を叩く人から応用コースの人たちまでの学びのサポートを主にやっております。
ゆいぽん: 私もマイさんにはお世話になりました。 出てない提出物があると「出てません」って言っていただいたり(笑)。
今でも大切にしている、出会った時のこと
―――システムコーチングでは「神話の起源」っていうのですが、CRR Global Japanと最初に出会った時のことを教えてください。
ろくっちさん:私はかれこれ10年ぐらいの付き合いになりますが、実は私、その「神話の起源」の部分をすごく大切にしてこれまでやってきているんです。
初めてファカルティ(トレーナー)のみんなが一同に会して集まるところに行った時のことなのですが。
みんなが、もうすっごいオープンハートで私のことをウェルカムしてるのがその場に溢れていて。
私という存在を祝福してくれているような。
私がどんな人間で、今までどんなことやってきたとか、もう一切関係なくて。
もうそれが忘れられなくて、すごく大切に今でも自分の中に持っているので。
新しいスタッフがうちのチームに入ってくる時も、自分がその時に受けた祝福の気持ちをいつも持って、「ウェルカム!」って。
ゆいぽん:(受け入れられた側の)マイさん、どうでしたか。
マイさん:みなさん本当にウェルカムで、「私、前からここに関わっていたかもしれない」ぐらいの気持ちの中でキャリアをスタートしました。
私がジョインしたのは(2019年にCRR Global Japan合同会社として)独立してすぐぐらいだったのですが。ファカルティのKEIKOと、ロンドンに駐在していた時のお隣同士っていうご縁があったんです。そして帰国してちょっとしてから、「マイさん、働く気ない?」と声をかけてもらって。
まず驚いたのが・・履歴書がいらないんですよ。最初にお見合いみたいな面談をして。
「こんな仕事なんです」「どういう風に働きたいですか」みたいな話をして。
「じゃあぜひ」っていうことでジョインして。
「こんな感じで入ってもいいのかしら、私・・・」みたいな感じでした。
事務局はアクションを起こす最前線
ゆいぽん:今日はORSC(システムコーチング)のコースを受けた方も聞きに来てくださってると思うのですが。オペレーションチームとやり取りをする中で、「ただの事務連絡ではない」と感じた経験ってあるんじゃないかなと思って。
私もイチ受講生として、血が通う温かさみたいなものを感じていて。事務局の三木さんの顔は全然見えないけれども、そこにはちゃんと人がいるなっていう風に思うんですよね。
マイさん:私が今やっていることって、例えばお問い合わせや説明会など、コースに申し込んでくださる方に対して最初にアクションを起こす最前線なわけですよ。もうそこの時点からGJ(CRR Global Japan)との接点・関わりが始まるので。
ただ事務連絡をするだけっていうよりは、私の何か一言からでもGJのなんたるかっていうか、あり方が伝わるといいなと思いながらメールを打ってるかな。
ゆいぽん:「GJのあり方が伝わるといいな」ですか。どんなあり方や気持ちで仕事されてるんですか。
マイさん: 自分は事務局というより、皆さんが受けるプログラムの一部ぐらいの気持ちかな。
私がGJにいる中で、普段から関係性を大切にみんなでやり取りをしたり、色々こうやって大事にされていることを伝えたいというか。
ゆいぽん:組織の内側で大切にしている在り方やコミュニケーションがそのまま、事務局を通じて外の世界と繋がるわけですよね。
マイさん:そうですね。ファカルティーはシステムコーチとして現場に立って、その存在そのもので体現しているわけだけど。私はそういう表に立つ人ではないけれども、同じように伝えられるといいなと思います。
マニュアルよりも、その人がどうしたいか
ろくっちさん:マニュアルがないですよね。オペレーションの引き継ぎなどのための。
ゆいぽん:へぇ。オペレーションこそマニュアルがたくさんありそうなのに。
ろくっちさん:それよりも、「マイさん、あなたがどのようにその人と関わりたいか」ということを大切にして、尊重しているかな。そうすると、マイさんの魅力が相手にも伝わりますよね。
ゆいぽん:組織に属するとどうしても組織が先に来て、一人ひとりの個性が後になってしまいますよね。
例えば、仕事で大きなプロジェクトに参加できることを認められた人に「すごいね」と言ったら、「〇〇会社のAさんだからお願いされているだけだから」と言われたことがあって。
組織ってそういうところがよくあるのに、CRR Global Japanはマイさんやろくっちさん、ファカルティ自身も、個性が輝くようにということが印象的です。
ろくっちさん:多様性を尊重するといっても簡単ではないですよね、特に組織に属している人にとって。でも自分たちが多様性を尊重していると言いながら、実際にシステムの中でそれを実践していなかったら嘘になりますからね。
体現するということにフルコミットしている人たちの集まりだと思います。
合意形成のプロセスをみんなで経験している
ろくっちさん:また、答えがないことにチャレンジするのが好きな人たちだと感じます。
マイさん:そうですね。自分たちで答えを作っていく、もしくは自然に湧いてくるのを待つ感じです。例えば、目の前にあるものが黒だから黒と言うのではなくて、もしかして横から見たら白く見えるかもしれないと考える。
簡単に言えばYESだけど、それがちょっとNOも入ってるYESなのかとか。今日はYESだけど、もしかしたら明日はNOになる人もいるかもしれないですね。そういうのも含めて、受け入れてくれるというか。
ゆいぽん:曖昧なものにとどまる許容の土台があるという感じですかね。出にくい声も大事にしていくという文化がシステムコーチングにはありますよね。
ろくっちさん:カオスを悪いことだとは決して思っていないところはあるかもしれないですね。合意形成するときにすごく時間がかかるし、決まらないことは「もうこれ何ヶ月話してるの」みたいなこともありますけど。
ゆいぽん:それって大変じゃないですか。白黒はっきりした方が進みやすいですし、気持ちがクリアになった方がやりやすいことってあるし。
ろくっちさん:諦めないというか、諦めたらそれで終わっちゃうと思っています。決めなきゃいけないことはありますし、組織をフラットにしたとき合意形成をどう進めていくのかって課題がありますよね。みんながいろいろ言ってまとまらないことってあると思うんですけど、そこを我々はチャレンジし続ける。
誰も答えが分からないですよね。これからの時代どうなっていくのか。
そのプロセスをみんなで経験しているんじゃないかなって、私はいつも思うんですよね。そこに答えはないから、自分たちで見つけていくというか。その道の途中みたいな感じでしょうか。
いつも終わりがないというか、ずっと歩き続けている感じがします。
「あり方」はだだ漏れて広がっていく
ゆいぽん:お2人はシステムコーチではないという意味で、この組織の中で少数派なわけじゃないですか。だけど、システムコーチであるかどうかや知識があるかどうかではなくて、人としてという部分がやっぱり一番の大前提だと思いました。
ろくっちさん:ORSCer(ORSCを学んだ人)って、「あり方」で学べることが多いんじゃないでしょうか。
役割が違っても、この思いや願いはみんな同じですよね。世界がもっと良いところになってほしいとか、平和な世界になってほしいっていう大きなテーマを握っていると思うんです。
そのための1つの手段としてのORSCだし、1人でも多くの人に届けたい。
全ての人がORSCを学べるわけじゃない。でも1人でもORSCを学んだ人がいるシステムにいたら、もう全然違うって私は思うんです。
このORSCの影響力やインパクトがすごいのは、ツールができるとか、そういうことじゃなくて。その人のあり方からすごく学べることが実はたくさんあって。
あり方って、うまく漏れちゃうんですよね(笑)。そう、それがパワフルだなって私はいつも思ってます。
システムコーチと共に生きていくって、そんな感じかな。
ゆいぽん:・・・私、まだそこまで自分がたどり着いてるか分かんないなって正直思いました。
ろくっちさん:もうだだ漏れてるから、大丈夫(笑)。
マイさん:そうそう。私はシステムコーチじゃないけれども、システムコーチだらけの組織の中にいて、自然と受け取っているというか、影響されています。
例えばゆいぽんがシステムコーチングを紹介する現場に行った時に、そのゆいぽんの存在を感じ取ってくれる人がいて、そこからまた広がってくるんじゃないかな。
ゆいぽん:すごく教えていただいた気分です。私はモデレーターやマーケティングの文脈で関わらせていただいているので、どうやったらシステムコーチングを広げられるかというのをすごく考えていて。
システムコーチがそれを伝えることが大事だと思いますが、それを受け取った人もまた変わっていくというか。システムコーチでなくてもシステムコーチングを広められるということを教えてもらいました。
マイさん:さざ波というか、波及効果だよね。
関係性は変わり続けることを理解している
ろくっちさん:
私は若い頃ブラジルという多様性に溢れる国にいました。だから人の個性を尊重し、多様性豊かな社会を見たいという夢を持っているんですが。
GJと関わってから、その夢を実現できるのではないかと思うようになりました。
私の旦那さんはフランス人で、「そもそも違う」という前提で関係性が始まっていて。
私はORSCの世界観を持っていて良かったと思います。相手に対して好奇心を持てるし、喧嘩や衝突もあるけれど、それが嫌な思いにならない。ORSCに先に出会えて良かったって思うんですよね。
マイさん:関係性を諦めないですからね。たとえ喧嘩しても変化して前に進んでいかないといけない。
ろくっちさん:システムは変化するということを知っているかどうかはけっこう大きくて。本当に変化しますから。
例えば旦那さんとの関係性だけでなく、高齢の母との親子関係も変わっていく中で葛藤がありますけど。
ORSCと出会っているからこそ、悲しみに囚われず、関係性を冷静に見ることができるというか。
ゆいぽん:コロナ禍が始まって3年が経ち、元の生活に戻れるかどうかはもう問題ではなく、変わり続けることが前提になっていますよね。
それに戸惑う人も多い中で、関係性やシステムが変わり続けることを理解しているかどうかが大きな違いを生むと思います。
システムコーチになるかどうかは1つの選択ですが、まずORSCに出会うかどうかで大きな違いがあると感じました。システムコーチでなくてもORSCは役に立ちますし、システムコーチングってもの自体に触れることは、別にコーチである必要がないんだなって。なんか自分の肩の荷が下りた。
ろくっちさん:いや、でも(システムコーチに)なってくださいね。みたいな(笑)。
マイさん:うん。(ゆいぽんは資格取得まで)もうちょっとだもんね(笑)。
「システムコーチとして生きる人々」シリーズも次回が最終回です。ファカルティ原田直和さんは多様な自己を持ち、そしてその中心には「孤独がある」と語っています。関係性のプロフェッショナルであるシステムコーチは、自分の中に存在する様々な自己と、その中心にある孤独とどのような関係を築き生きているのでしょうか。