コーチングの場を広げていく【中編】ORSCC櫻本真理

コーチングの場を広げていく【中編】/ORSCC櫻本真理

株式会社コーチェット代表取締役CEO
株式会社cotree代表取締役CEO
/ORSCC櫻本真理

【前編】「人を生かし、育て合う社会」を作りたい
【中編】コーチングの場を広げていく(※現在この記事を読んでいます)
【後編】すべての人が人を生かしあう未来を

日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」で心の揺らぎサポート賞を受賞されたORSCC(Organization & Relationship Systems Certified Coach)の櫻本真理さん。

昨年の春、櫻本さんは国内最大級のコーチングカンファレンス“Coaching Transformation 2021”を主催し、成功裡に終えられました。どのような思いでコーチングカンファレンスを企画し、そこで何を得られたのでしょうか。

コーチング業界の歴史、新規に参入された方の声などをテーマに

――コーチングと言ってもいろんな切り口があると思いますが、カンファレンスではどのようなテーマを取り上げようと思ったのですか?

テーマとしては、

①ここまで日本のコーチング業界はどのように作られてきたのか
②SNSを中心に新しい会社の活動も活発になってきているので、このタイミングでこの業界に参入された方々はどんな風に感じているのか
③事業者だけではなく、実際現場で何が起こっているのか
④私たちがコーチングを取り入れていただけると良いなと思っている経営者の層やエンジニアの方々はどう感じているのか

というところで、一つずつセッションを組みました。基本的に二つ返事で受けてくださる方が多かったです。

――このカンファレンスを通じて、何を得られましたか?

「コーチングの場を広げていく」という同じ願い

一番大きいのは、「コーチングの場を広げていく」という同じ願いを持っていることを皆さんと共有できたことです。事業者同士が横断でやる機会は、これまであまりなかったと登壇者の皆さんもおっしゃっていましたが、なんとなく暗黙裡に競合みたいな感覚だったり、牽制し合うような空気がおそらく業界の中にはあって。戦う相手という捉え方も一部存在していたのではないかと思います。

そうしたなか、それぞれが個性を発揮しながら、全体としてムーブメントを作り、全体としての勢いを生み出すようなつながり方――つまり、そういう個としてのあり方と全体としてのあり方の両方を両立し得るイメージが沸きました。何か一緒にやりましょうといってカンファレンスを終えられる関係性づくりにつながったことも良かったですね。

同じ願いのために連帯できるというのがすごく嬉しいサプライズでした。業界にとっても、自分達にとっても良いイメージができたとしたら、とても意味があったと思っています。

さらに、コーチングに対してこんなに興味ある人がいるのか、というのも驚きでした。同カンファレンスには、最終的に1829人の申し込みがありました。多くの人にコーチングを知っていただき、この世界に触れていただくきっかけとして良かったと思います。

――カンファレンスを通じて得られたことがあった一方で、見えてきた課題には何がありましたか?

大きな流れを作ることで“封殺される声”をもう少し拾えたかも

業界全体で頑張っていこうという空気感だったり、認知がある程度できた一方で、そうではない声を押さえつけていなかっただろうかという感覚は少しありました。本当はもっと好戦的にいきたいという人もいるかもしれない中で、大きな流れを作ることで“封殺される声”みたいなのをもう少し拾えたかもしれないという気もするんですね。われわれの思いが強すぎて、そこをあえて拾わなかったというところも実はあった気がしていて。

本当はそれをちゃんと拾わないと、長期で見た時にどこかで歪みが出てくる可能性があるなと思います。とはいえ、最初のチャレンジとしては、自分たちに合格点をあげたい気持ちでいます。

――【後編】では、櫻本さんはORSC(システムコーチング)を受講した体験から何を得られたのか、今度どういったことを考えていらっしゃるのかという話を聞いていきます。

(ORSCCのライター:大八木智子)