システムコーチから見た「リーダー」社会人3年目からシステムコーチへインタビュー

チーム変革のキーパーソンであるリーダーはシステムコーチからどのように見えているのでしょうか。システムコーチの視点からの真実が語られています。

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【後編】システムコーチから見た「リーダー」

リーダーになった途端、すごく生々しくなる

齋藤:今日の大テーマをぶつけていいですか? そんなリーダーって、まゆみさんの社内チームコーチという役割から、どんな風に見えているんですか? 責任感があってという言葉は、さっきから何回も出ているなと聞いているのですが。

丸山:どんな風に見えているか……。まずは、素敵だなと思うよね。かっこいいだけじゃなく、かっこ悪いも含め、すっごく生きているなという感じがするし。たぶん、自分の力以上のものを出そうという、そういう課題に人生の中で向き合えるって、自分の意志だけじゃできないことなので。群れを率いるとか、リーダーになるというのは、すごく良い経験をされているんだろうなって。生き生きして見える

一方、本人たちは、そんなに生き生きしていると気づいていないかなと思って。リーダーってやっぱり大変じゃない? それこそ、さっき言った“うごめいている紐”の中で。「苦しいばっかりです」とか「早く懲役を終えたいです」とか言っているんだけど。

でもたぶん、人生が終わる時に振り返ってみると、「あの時、一番頑張っていたな」とか思うんじゃないかなと思いますね。

齋藤:まゆみさん、リーダーのこと、本当に好きなんですね。

丸山:うん。だから責任を持っている人と仕事をするのは楽しいよね。私、自分が家族とかを背負ったことがないんだけど。人の人生を背負った途端に生々しくなるというかさ。逆に言うと、意見としては正しいけど、その人はぜんぜん生々しくないなという意見って、すごく薄っぺらいなと思う感じ。「もっと、チームがこうなったらいいんですよ!」と言うのは正しい。言っていることは本当に正しいんだけど。でも、そこに血が通っている感じがしないっていう話って、すごく虚しいなと思ったりなんかしちゃう感じかしら。

すごく乱暴に言っちゃうと、リーダーは本当に人を率いているかどうかは別として、そこに責任を持っているかどうかで判断すると、リーダーとリーダーじゃない人の差っていうことかな。やっぱり、リーダーになった途端に、責任があるということは綺麗事じゃ済まないから、すごく生々しくなる感じがあって。役職はリーダーであっても、自分が背負っているという責任感がなかったりすると、生々しくないんだろうね。

齋藤:生々しさって……。生々しさにまゆみさんは惹きつけられるという感じなんですか?

丸山:すっぱり答えられないんですけど、ゆいぽんが言っていた、本当に大事なものに触れた時というのも、一つ要素だなと思っていて。本当に大事なものがわかった途端に、それを傷つけられたら嫌だなということだったり、大事なものを本当に大事にしたいなと思うと、人はなりふり構わなくなるんじゃないかと。

やっぱり、社会人たるもの、ナイスな感じで、スマートにいきたいわけですが。本当に守りたいものを守らなきゃとか、本当にその願いを達成したいとか、そうなった時に、なりふり構っていられないし。自分はかっこ悪くたってしょうがない。そんな感じが生々しいなのかな。

だから、私が感じる生々しいというのは、その人の本当の願いとか、本当の痛みとつながっていると生々しく感じるんだろうね。だから、生々しくない例で言うと「どこかの本にそう書いてあったので」とか「あの人この人も言っているし」とか言われると、全然生々しくないから響かなくて。

「その本を覚えているというのは、どこがあなたに響いて覚えているんですか?」とか、その人の本当の願いとか、痛みとかに繋がるまで対話を続けて「あっ、生々しい声だな」と感じるところまでお話を伺います。それが「べきです」とか「普通そうですよね」とかじゃないところまで。言葉遣いじゃないんだけど、その人に触れているなと思えるかどうかって感じかな。

大切にしているものをただただ聞いてくれるシステムコーチ

齋藤:今のお話を聞いて、ちょっと震えちゃったなという感じが。自分が大切にしたいことを大切にするって、本当はどんな人でもそれをすごく願っていると思うんですけど、なかなか難しい。大切が故、ちょっと晒して「それはなんだ!」と言われたら、すごく引っ込めたくなったり、すごい痛みに変わったり。でも、そこをシステムコーチは、願いとして聞きにいくって、すごく認知されるというか。自分の大切にしているものを、ただただ聞いてくれる存在って。

丸山:そうだね。それで言うと、リーダーはメンバーを率いているかどうかは関係ないと言ったんだけど。あえて役職でリーダーと置いてみると。役職のリーダーになればなるほど、今、ゆいぽんが言ってくれたような、「自分は、これが本当は大事なんだ」ということがストレートに言いづらくなる環境にあるなと思っていて。例えば、リーダーたるものそういうことを言っちゃいけないとか。実際には会社の中で誰も言っていないんだけど、そういう感じがあるわけよね。

そういう意味で言うと、リーダーこそ、誰にも聞いてもらえてないとか、言うことに制限をかけているとか、そういうことが多いんじゃないかなと感じるよね。だから、まさに、今、ゆいぽんが言ってくれたみたいに、社内チームコーチの役割って、そこから始まるのかもしれないね。

リーダーの孤独をなんとかしたい

齋藤:大変ですねという一言で出して良いのかなと思ったんですけど……。目の前に本当に多くの紐(関係性)があって、それをすごく背負っていて。だけど、本音が言いづらい。上からもいろいろ言われるというかね。いろんな会社の文化とか雰囲気というものを加味しながら、自分のチームを責任を持って守っていく。でも、自分の声は聞かれることがないって、すごく孤独な感じ。孤独だけど、抱えているものはすごく多くて。だけど、そこに生々しいものもあって。立っているだけで、すごく大変そう。

丸山:ね。すごく大変だと思う。「すごく大変ですよね」って言うと、ある意味、皆さん、ほっとされるんだよね。「そうなんです」って。

齋藤:今、このやりとりを聞いて、リーダーがすごく背負っていた荷物を。「そうそう。大変なんですよ。これがあって、これがあって、これがあって」とばーっと出した一番奥に「あっ、僕が大切にしているのはこれなんですけど」と出てくる感じ? もしかして。妄想が。今、一瞬で、パッと出てきちゃったんですけど。

丸山:たぶん私、リーダーの孤独というものに対して何とかしたいなという気持ちがすごくあるんだよね。構造で言うと、上司が強くて部下が弱い。弱い人たちに共感を覚えるという、そういう価値観も私にはないとは言わないけど。リーダーたちが強いからこそ、上司・部下の関係でいうと、部下には持っていないものを持っているからこそのつらさみたいなものは、会社の中で理解されていないなと思って。そこに共感があるんだね。


齋藤:ここまでの話を聞いて、リーダーの生々しさとかあったじゃないですか。いろいろなものを背負っている。そこに、すごく、まゆみさんが強い共感を抱いている。まゆみさん自身が持っている“生々しいもの”と、リーダーが持っている“生々しいもの”が、どこかで共鳴しているというか。そことそこがつながっている。きれいじゃないかもしれないけど。何かつながりを持っている。そことそこが影響を受け合っているようなことがもしかして起きているんじゃ、と思って聞いていました。

自分の願いや魂の叫びから関わっていく

齋藤:1時間半があっという間に経とうとしているんですけれども。まゆみさん、いろいろ話をしてきましたが、どうでしたか?

丸山:ゆいぽん、上手だね。すごく気持ち良くしゃべっちゃった。打ち合わせの時とぜんぜん違う話になったよね。「リーダーのことが好きなんですね」とか「なんで好きなんだろう」とか、自分でも振り返って面白かったです。

齋藤:そこって、ただ単にチームを良くしたいというだけじゃなくて。そこに惹かれるまゆみさん自身のメッセージ、本質的なものがあるからこそ、そこに携わっていて。システムコーチという仕事って、要はこなすみたいな感じでできるものじゃないなと。今日のお話を聞いて、よりそう思いました。

自分の願いとか、魂の叫びみたいなところから関わっていく。そこに何があるんだろうというのは私の一番気になるところだったので。そういう風にして生きている人がいるというのが、自分が一番届けたいメッセージだなと思っているので。

お得な話がいろいろな人と一緒に聞けて、すごく嬉しいなという気持ちでいます。本当にありがとうございました。

【編集後記】
社会人3年目の齋藤さん(ゆいぽん)から社会人35年目の丸山さん(まゆみさん)へのインタビュー。まゆみさんは“百戦錬磨の強者”という印象で、一つ一つの言葉が生々しく、貫禄がありました。ゆいぽんはゆっくりつぶやくように話していましたが、紡ぐ言葉にすごく力があると感じました。その二人の掛け合いから思いもよらないものが生まれる、何とも面白い企画でした。「システムコーチとして生きる人々」の続編、これからの展開が楽しみです!
(ORSCCのライター:大八木智子)

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